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一昨年前の冬のことです。私はニホンジカが捕獲されたということでその現場へ行きました。雪の中には捕獲されたオスジカ、メスジカ3頭が横たわっていました。その場ではそれぞれから、研究のためのデータをとるのに必要な部位を採取する作業をしました。作業が終わり、ふと気配を感じたので辺りを見回しました。が、目視で確認できるものはいませんでした。が、その時私に見えたものを描いたものがこのオスジカです。

雪の中に雄々しく立つオスジカの姿は威厳をもち、光の中からじっとこちらを見ていました。このオスジカは私達が命を落としたシカ達に対して誠意を持って接しているのか、もっと言うならば、大きな自然の中の一員として他の命に敬意をもって接しているのかを見ていたのだと思います。なぜ、そのようなことが言えるのか?それは、感じる心です。見えるものだけ言葉だけに頼って生きていると、心細くなり、信じられるものが見つからず心がしぼみ、生きる力が萎えていきます。けれど大きな自然のなかで、他の命と一体になったとき、お腹の深いところから胸に向かって湧き上がって来る温かく力強いエネルギーを感じることができます。それは、自然の中では目の前に横たわっているニホンジカも自分も同じ命だということを教えてくれます。それを感じ、ニホンジカの命に感謝したときにオスジカの姿をかりて現れてくれたその偉大な力が自分を見守っていてくれるのだという信頼からうまれます。その力は到底かなうものではありません。

オスジカの姿をかりて現れた魂はいつも私達を見ています。それは、全てに平等であり、決して優しいだけのものでないことを忘れてはいけないのです。

森で出会ったニホンジカの魂